印象を左右する企業ブランディングの基本

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顧客の心をつかむ企業イメージ戦略の始め方

企業価値を伝えるブランド構築の要素

企業価値を正しく伝えるには、まず「ブランドを構成する要素」を分解して考えることが大切です。
主な要素は①理念・ビジョン・ミッションなどの根本的な考え、②ロゴ・カラー・フォント・写真などの視覚的な表現、③キャッチコピー・サービス説明・SNS投稿のトーンなど言語での表現、④顧客が触れる場所での体験、の4つです。
これらがばらばらだと、顧客は何を軸にこの企業を理解すればよいのか分かりません。
逆に、この4つが同じ方向を向いていれば、企業の規模が小さくても「この会社はこういう価値を提供している」と覚えてもらえます。
最初に手を付けるべきは①の理念です。
ここで「私たちは〇〇という価値を提供する」「〇〇なお客様に向けて事業を行う」と具体的に書き出すと、②や③の表現が決めやすくなります。
次に、②の視覚要素では、ロゴとブランドカラーを1~2色に絞り、名刺・ウェブサイト・パンフレットで同じものを使うルールを作ります。
よくある失敗は部署ごとに違うフォントを使ったり、担当者の好みで資料の雰囲気が変わったりするケースです。
これを防ぐために「ブランドガイドライン」を簡易的でもよいので作成します。
③の言語表現では、堅い企業なら敬体で統一し、親しみやすさを出したい企業なら常体で統一するなど、語調を決めます。
さらに、自社の強みを表すキーワードを3つほど決め、どの媒体でもそれを入れるようにすると、説明に一貫性が生まれます。
④の体験は最も顧客に記憶されやすい部分です。
問い合わせへの対応スピード、店舗での挨拶、納品までの説明など、顧客が「接客」と感じる部分にブランドを反映させます。
ここが丁寧だと、多少価格が高くても選ばれやすくなります。
これら4つの要素をそろえることが、企業価値を伝えるブランド構築の第一歩です。

一貫性と信頼感が生むブランドの力

ブランドは「いつ見ても同じである」と感じてもらうことで強くなります。
なぜなら、顧客は企業を詳しく調べるよりも、繰り返し目にする印象で判断するからです。
ここで重要なのが一貫性です。
ウェブサイトでは環境配慮を掲げているのに、SNSでは価格の安さだけを強調していると、顧客は「どちらが本音なのか」と疑問を持ちます。
一貫したメッセージはそれだけで信頼のサインになります。
信頼感が高まると、価格競争に巻き込まれにくくなり、長く取引してもらえるようになります。
実務で一貫性を保つには、社内で「この言葉は使う」「この言葉は使わない」という基準を決めておくと効果的です。
また、ロゴの縦横比や余白を決めるなど、見た目に関するルールも細かく設定します。
営業資料・SNS画像・求人広告など、どこで見ても同じ雰囲気になっていると、企業の成熟度が高く見えます。
さらに、時間の一貫性も大切です。
キャンペーンやイベントのときだけブランディング風の発信をして、普段は何も発信しないと、ブランドは育ちません。
月に1本でもいいので、理念に沿った情報や事例を出し続けます。
これが積み重なると「この会社は言っていることとやっていることが一致している」という評価につながり、ブランドが資産化します。
一貫性は地味な作業の繰り返しですが、他社と差がつくのはまさにこの部分です。